『から船往来―日本を育てた ひと・ふね・まち・こころ』
 東アジア地域間交流研究会 編  2009.06  A5平/327頁  定価 2,940円(税込)
多様多彩、また、さまざまな面で深い味わいをもつ我が国の伝統文化……、
それを作り上げた原点は「ふね」を使ったアジアの交流にある。歴史学、考
古学、宗教学、学術思想史、そして、文学や音楽など多方面から鋭く切り込
んだ異色の入門書。そこにはこれまでほとんど語られたことが無かった驚
きの%激Aジア交流史が見えてくる。平成十七年度発足文部科学省特定領域
研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成―寧波を焦点とする学際的
創生―」のメンバーを中心に、十五名の研究者による共同執筆。

目 次
巻頭言―関東圏の船、鎌倉と常陸(小島毅)
第一部 船のみえる風景
 鎮西探題・鎮西管領と東アジア(佐伯弘次)/寧波沈没船の考古研究(林士民)
 /近世薩摩における中国陶磁の流入―清朝磁器を中心に―(橋口亘)
第二部 学び舎のむこう
 海域の街・長崎―朱舜水と安東省庵の儒学への想い(荒木龍太郎)/江戸期
 儒者の琉球観―荻生徂徠の視野の中で―(中村春作)/福岡藩の医学―亀井
 南冥を中心に―(吉田洋一)
第三部 尽きせぬいのり
 阿弥陀経石の航路(静永健)/中国における葬送儀礼―寧波地域を例として
 ―(李広志)/中国の観音霊場「普陀山」と日本僧慧萼(陳[羽中])
第四部 みやびの遺響
 魏氏明楽―江戸文人音楽の中の中国―(坂田進一)/中国伝来音楽と社会階
 層―清楽曲「九連環」を例にして(加藤徹)
第五部 ほとばしる言の葉
 奥州胆沢城跡出土漆紙文書「古文孝経孔氏伝」の伝来について(藪敏裕)/
 李徳容―善行には報がある話―(若木太一)/支那ニ浸ル人―井上紅梅が描
 いた日中文化交流(勝木稔)
編集後記 「から船」がつなぐ三つの「くに」へ(静永健)