『東アジアにおける犁耕発達史』
 武藤軍一郎 著  2009.09  B5判上製/348頁  定価 12,600円(税込)
農業の発展は、土の耕起、整地手段の発達に大きく依存している。鍬耕から
犁耕への移行は、耕起作業能率を著しく高めた。
本書は東アジアにおける犁耕の発達を社会、農業の発展との関係で見たもの
である。中国では華北の乾地農法と犁、華南の水田農法と犁として捉えられ
る。朝鮮半島においては、犁の多様性と整地農具の種類の驚くほどの多さと
機能分化を、自然条件と農法から明らかにしている。もっとも遅く犁耕を始
めた日本では、東日本における耕起が明治後期まで鍬耕であったことを立証
し、その原因にせまっている。歴史研究者にも農業地理研究者にも有益な一
書。

目 次
序 章 世界の農耕と農具
第T部 中国における犁耕史
 華北農耕と華南農耕/農耕の進展と農具/三国時代から隋時代以前まで/
 隋〜元時代の農耕と犁の発達/明清時代の精耕細作技術の発展と犁の形態
 /20世紀の犁の発達 第U部 朝鮮半島における農業と犁耕の発達
 朝鮮半島の自然条件/朝鮮半島の農業と農具、とくに犁の発達/近代朝鮮
 半島における犁を中心にした農耕/朝鮮半島における犁の分布
第V部 日本犁耕発達史
 日本人と稲作の起源/古代から奈良時代の農耕と農具の発達/奈良時代か
 ら戦国時代における農耕と犁耕/江戸時代における農耕と犁/明治初期に
 おける犁の発達と全国への普及/全国への犁耕の普及はどのように行なわ
 れたか/大正期以降の犁の発達