『驚鴻記校注』
 多口洞天人 編 竹村則行 校注  2007.2  A5精/367頁  定価 8,190円(税込)
  梅を愛した宋人の虚構になる梅妃は、ライバルの楊貴妃ほど有名
 ではないが、『驚鴻記』は、その梅妃をヒロインに仕立てた、元気
 あふれる明万暦刊の戯曲である。
  『驚鴻記』は二種の明版が現存する。一は葉徳輝−馬廉を経て北
 京大所蔵の標註本であり、一は神田博士旧蔵−京都大谷大所蔵の新
 刻本(本書の底本)である。
  本書は、著者が二版の異同を克明に調査した結果をまとめ、標註
 の出典を示し、旧稿を一新して、二版の図蔵および著者の関連論文
 を付して成った『驚鴻記』校注本である。更に、傅惜華の提要、葉
 徳輝の跋文にも初めて解釈を施した本書は、『驚鴻記』定本として
 研究の出発点となり、明代戯曲研究にも資するものとなろう。