『近世阿波漢学史の研究 古学者高橋赤水』
 有馬卓也 著  2007.3  A5精/305頁  定価 4,830円(税込)
 阿波藩の高橋赤水(1769〜1848)は、江戸後期の儒学者である。
 赤水は荻生徂徠の古学に私淑し、当時主流であった朱子学を排斥し、
 孔子本来の教えに立ち戻ろうという立場をとった。本書は赤水の主
 著『赤水文鈔』『古今学話』を中心に、現在では忘れ去られたこの
 碩学の紹介を行うものである。
 本書は以下のような構成で考証を進めた。まず第一章では、墓碑銘
 でしか知ることのできない赤水の生涯を、赤水と交流をもった漢学
 者たちとの関わりを明らかにすることによって補完した。次に第二
 章では、古学者としての赤水の思想内容をでき得るかぎり体系的に
 示すことを試みた。さらに第三章で、より細かな赤水の思想構造に
 触れるべく、その古典解釈の有り様をいくつか提示した。そして第
 四章および第五章において、赤水の著書『赤水文鈔』と『古今学話』
 を注釈と現代語訳をそえて紹介した。