『殺劫(シャーチエ)―チベットの文化大革命』
 ツェリン・オーセル 著  ツェリン・ドルジェ 写真
 藤野彰/劉燕子 訳  (集広舎 発行)  2009.10  A5判並製/410頁  定価 4,830円(税込)
 チベット「封印された記憶」の真実―。
 一九六六年から十年間、チベット高原を吹き荒れた文化大革命の
 嵐は仏教王国チベットの伝統文化と信仰生活を完膚なきまでに叩
 き壊した。
 現在も続くチベット民族の抵抗は、この史上まれな暴挙が刻印し
 た悲痛な記憶と底流でつながっている。長らく秘められていた
 「赤いチベット」の真実が、いま本書によって四十余年ぶりに甦  る。

 「殺劫(シャーチエ)」はチベット語の「サルジェ(革命)」と似た
 発音で、ピンインでは「shajie」となる。…(中略)…チベット語の
 「リンネー」の発音は、ピンインで綴れば「renlei」となり、これは
 中国語の「人類(レンレイ)」の発音と似通っている。このため、
 チベット語の「リンネー(文化)・サルジェ(革命)・チェンボ(大
 きい)=文化大革命」という言葉を中国語で表記すると、チベット
 民族にとって「人類殺劫」ということになる。
   (序より)

 目 次

 序(ツェリン・オーセル)
 序(王力雄)
 写真について(ツェリン・オーセル)
 日本の読者へ―日本語版序(ツェリン・オーセル)
 第一章 「古いチベット」を破壊せよ―文化大革命の衝撃
 第二章 造反者の内戦―「仲の良し悪しは派閥で決まる」
 第三章 「雪の国」の龍―解放軍とチベット
 第四章 毛沢東の新チベット―「革命」すなわち「殺劫」
 第五章 エピローグ―二〇年の輪廻
 参考文献
 解説 チベットの文化大革命―現在を照射する歴史の闇(藤野彰)
 訳者あとがき