| ●書評 | 伝統と豊かな厚みを持つ中国古典思想について日中の哲学者が語り合い、その復建を主張すると同時に、二十一世紀文明への提言を試みている。 九州大学名誉教授の岡田氏は朱子、王陽明など中国古典哲学を専門とし、北京大学教授などを歴任した張氏は孔子、孟子などの思想をマルクス主義の方法論で研究。ともに長年にわたり思想探求を深めてきた。 北京で実現した対談を日本語、中国語で収録している。 現在、一般的には孔子、孟子などの思想は「古典的」なもので、現実世界と結びつけて取り上げられることは少ない。 他方で、社会的な病理の深まりや地域紛争の激化など世紀末の行き詰まり現象に対し、新たな思想の確立も求められている。 対談ではこうした現代的課題を踏まえながら、西欧文明とは異なった伝統を持つ東洋思想に光を当て直す必要性を強調している。儒教の「共生・共存」の理念に立ったアジア国際国家の建設など二十一世紀へのデッサンにも話は及んでいる。
筆者は、西日本新聞論説委員 西日本新聞1999年6月6日付「郷土の本」より転載。 |