| ●書評 | 最近は景気過熱のマイナス面も出始めたが、中国の高い経済成長は、景気低迷の世界経済の中にあって、数少ない好材料だ。計画経済を目指した旧ソ連が慢性的な経済不振から抜け出せない現状と比べれば、中国の経済システムには安定感がある。 現代中国の経済改革の成果については様々な面から論じられているが、それを解くカギを歴史的な脈絡の中から探し出そうというのが本書であり、とりわけ「流通」の視点を前面に出したのが特徴だ。 執筆陣は編者の川勝守・九州大学教授をはじめ、同大学文学部東洋史研究室を中心とした研究者たち。戦後の中国史研究は、生産、特に農業生産を重視し、商業・流通を軽視したとの問題意識から、商業・流通史を中国史の中で正確に位置付けたいとしている。 本書は「ひとつの考え方」を提案している。社会的な生産と流通を円滑にする存在として、「秩序の維持者」に注目、その役割を中国独自の官僚制度に見つけた点だ。 日本経済新聞 平成六年 「九州この一冊」より転載
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