| ●書評 | 中国には東北地区の吉林、黒龍江、遼寧三省を中心に約二百万人の韓国・朝鮮系の朝鮮族が住んでいる。そのほとんどは日本が朝鮮半島、中国東北部を占領した時期に朝鮮半島から移住してきた人たちとその子孫である。 著者もその一人で、1985年に来日、中京大学に学び、現在は西南学院大学助教授。92年から朝鮮族社会についてのフィールドワークを始め、少数民族としての朝鮮族がどのように漢族の存在を意識しながらホスト社会に適応して行ったり、独自の文化を育てていったかを詳述する。その論考は中国移住と被差別の経験から現在の優遇措置、民族意識、生活史、宗教、農村社会の変貌など広範にわたる。聞き取り調査で明らかにする改革・開放政策下でのキムチの行商、北京などでの朝鮮料理屋の経営、海外での出稼ぎ、韓国での不法就労などの報告も興味深い。 (西日本新聞 2002年1月20日 本と批評面より転載。) 本書の構成 第1章 朝鮮族とは 1 朝鮮民族の由来 2 朝鮮族の由来 3 延辺朝鮮族自治州 4 朝鮮族文化の発展状況 第2章 漢族との関係 1 移住と被差別の経験 2 事例にみる今日の鮮漢関係 3 考察 第3章 朝鮮族の民族意識 1 エス二シテイについて 1)エスニック・グループとエス二シテイ 2)エス二シテイ研究の諸観点 2 内地朝鮮族の民族意識 1)調査対象の選定 2)カラオケ・バーで働く若い女性 3)韓国出稼ぎ帰還者 4)エリート朝鮮族 第4章 中国の民族政策と朝鮮族の証言 1 伝統的な民族政策 2 今日の民族政策 1)事例にみる少数民族優遇政策 2)言語政策と二重言語教育 3 朝鮮族の民族的地位をその変化 1) 高校教師による証言 2)考察 4 民族問題の本質 5 民族問題をめぐる内外の意識差 6 「統一した多民族国家」への求心力 第5章 朝鮮族の宗教 1 キリスト教の受容 1)プロテスタント 2)カトリック 2 「改革・開放」とキリスト教の復興 1)キリスト教信仰の再開 2)「信教の自由」とその実態 3)信者インタビュー 4)分析 3 キリスト教の社会的な影響と今後の趨勢 第6章 農村社会の変貌 1 調査地の概況 2 土地制度の変遷と人口、職業移動 1)「人民公社」の解体 2)「生産責任制」の導入とその問題点 3)空間的及び職業的移動 3 農閑期の生活風景 1)農家の一日 2)ハルモニたちの生活と老人社会 3)マージャンー娯楽の王様 4各家庭の経済状況 5高利貸 第7章 家・村と年中行事 1 家屋の構成と配置 2 1970年代の家と村 3 内地朝鮮族の「名節」 第8章 村民の語りと生活史 1 元「日本学校」の生徒 2 老人たちの語る異民族 3 ある朝鮮族女性のライフヒストリー 第9章 朝鮮族の現在-出稼ぎと離農 1 キムチの行商 2 朝鮮料理屋の経営 3 海外への出稼ぎ 4 出稼ぎブームにおける犠牲者 第10章 韓国・朝鮮系移民二世としての筆者の自分史 1 はじめに 2 幼少の頃 3 青春時代 4 留学と韓国訪問 朝鮮族関連略年表 参考文献一覧
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