| ●書評 | 中国にいる韓国・朝鮮系の人々は約200万人という。彼らは朝鮮族と呼ばれ、東北部の吉林・黒龍江・遼寧3省に9割が住む。多くが日本の侵略行為の落とし子である。著者もまた中国に生をうけ、苦難の末に日本に留学して研究を続ける朝鮮族の一人。現在、西南学院大学助教授。 本書は「漢族との関係」「朝鮮族の宗教」「農村社会の変節」など9章で構成。 聞き取りを駆使した文化人類学的な手法で朝鮮族の民族意識や暮らしぶりに考察を加え、「統一した多民族国家・中国」で少数民族が置かれた現状の一端を浮き彫りにした。 特記すべきは、「附章」としてつけ加えた著者の「自分史」。自ら記す通り、研究書にこんな形で経歴を加えることは珍しいが、自分自身もまた研究対象ととらえる姿勢がかいま見え、それが、正確な分析に人間臭さを漂わせる結果になった。 (朝日新聞 2002年2月9日 ほん欄より転載) |