| ●書評 | 中国新石器時代を分析 浜田青陵賞の甲元眞之さん
浜田青陵賞受賞者の考古学者、甲元眞之・熊本大学 教授が『中国新石器時代の生業と文化』を出した。中国 の最新資料を集め、日本や東アジア地域とも関連づけて 農耕、狩猟・採集、家畜、集落、墓地などの分野で独創 的な見解を披露している。 ほぼ日本の縄文時代に当たる新石器時代、中国では 稲作が始まり都市が生まれている。甲元教授は、稲作 の起源から日本列島への波及に至る動向を、ほかの狩 猟・採集、漁撈などと関連づけて描き出す。また近年、 稲作の発祥地として注目されている長江地域の特徴を、 稲の生産性の高さと河川漁撈、水辺植物がもたらす選 別的な食糧獲得戦略と意義づけている。多種の畑作穀 物栽培と飼育動物に支えられた黄河流域と異なり、効 能性を求めて農耕活動の質的向上が必要だったと、と 説いている。 このほか魚を描く彩文土器と幼児埋葬・再生思想、死 後の魂を守るためキバノロの牙(きば)を持たせる葬送 儀礼、抜歯と階層社会の関連などに迫る。死者に対す る地域、時代的な考え方の違いも考察している。初期 農耕を軸に、地域的な隔たりを越えて研究を展開する 労作。 朝日新聞 2001年4月1日 ブックマーク欄より転載 |