書名中国新石器時代の生業と文化
ご寄稿者名朝日新聞 ブックマーク
投稿日 5/12 日
編著者甲元眞之
出版社中国書店
出版年月2001年2月22日
ISBN4-924779-57-1

書評中国新石器時代を分析 浜田青陵賞の甲元眞之さん

 浜田青陵賞受賞者の考古学者、甲元眞之・熊本大学
教授が『中国新石器時代の生業と文化』を出した。中国
の最新資料を集め、日本や東アジア地域とも関連づけて
農耕、狩猟・採集、家畜、集落、墓地などの分野で独創
的な見解を披露している。
 ほぼ日本の縄文時代に当たる新石器時代、中国では
稲作が始まり都市が生まれている。甲元教授は、稲作
の起源から日本列島への波及に至る動向を、ほかの狩
猟・採集、漁撈などと関連づけて描き出す。また近年、
稲作の発祥地として注目されている長江地域の特徴を、
稲の生産性の高さと河川漁撈、水辺植物がもたらす選
別的な食糧獲得戦略と意義づけている。多種の畑作穀
物栽培と飼育動物に支えられた黄河流域と異なり、効
能性を求めて農耕活動の質的向上が必要だったと、と
説いている。
 このほか魚を描く彩文土器と幼児埋葬・再生思想、死
後の魂を守るためキバノロの牙(きば)を持たせる葬送
儀礼、抜歯と階層社会の関連などに迫る。死者に対す
る地域、時代的な考え方の違いも考察している。初期
農耕を軸に、地域的な隔たりを越えて研究を展開する
労作。
  
朝日新聞 2001年4月1日 ブックマーク欄より転載

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