| ●書評 | 農業社会にとって、水利権は生命線だった。日本 の集落では、水を巡って、時には血で血を洗う争い に発展することもあったという。 一方、中国といえば、水路が張り巡らされた蘇州 の街並みや洞庭湖など、豊かな水に恵まれた名所や 旧跡が思い浮かぶ。しかし、長江や黄河を抱える広 大な中国大陸では、隋代の大運河をはじめとする大 工事が歴史を彩り、治水は歴代王朝の重要な国家事 業だった。 ここでは清代を例にとり、治水の重要な一端であ る地域社会における水の管理・運営組織などを論考 した。様々な視点から詳細な分析が、人々のたゆま ぬ努力が中国の社会と文化の発展に寄与してきた実 態が浮かびあがらせる。
2002年11月2日 朝日新聞 夕刊 |